歯はあなたの人生を豊かにするもの。
だから予防が大事です。
むし歯や歯周病から歯を守る取り組みを予防といいます。
「歯科医院は歯が痛くなってから行くところ」という認識の方もいらっしゃるかと思いますが、歯は1度削ってしまうと元に戻すことはできません。入れ歯やブリッジといった方法もありますが、噛む力は天然の歯には及ばず、しっかり噛むことができないと誤嚥性肺炎などのリスクも上がります。
また、歯周病は認知症や糖尿病などの全身疾患に影響があることもわかってきています。一生涯を健康な身体で過ごすためには、早いうちから適切な予防の習慣を身につけ、ご自身の生まれ持った歯を残すことがとても大切なのです。
歯の本数と歯科へのかかり方の関係
表を見ると、定期的に歯科医院を受診し予防・クリーニングを受けている方は、80代で平均20本の歯が残っていることがわかります。
一方で、痛みなど症状がある時だけ受診される方は、80代の段階でほとんどの歯を失ってしまいます。
「痛みをなくすため」ではなく、「痛くならないように」歯科医院へ通う習慣を身につけていきましょう。
歯科先進国に学ぶ予防の意識
歯科先進国と言われるように、国をあげて予防の意識が強いスウェーデンでは、幼い頃から口腔ケアをすることは当たり前と考えれています。
特に子どもに対しては、出産前から歯科医師による指導がご両親に入ります。歯磨き後のフロスや、定期検診の受診も日常的な光景のひとつです。その結果、スウェーデンでは70歳の平均残存歯数は約21本。一方で、予防の意識が浸透しきっていない日本では約16本と大きな違いが見えます。
年間医療費と歯の本数
表にある通り、残っている歯が多いほど医療費は少なくなる傾向にあります。
歯を失ってしまった場合、入れ歯やブリッジなどの選択肢もありますが、義歯の製作費用がかかる上、噛む力やかみ合わせのバランス、食事の快適さは天然の歯よりも劣ってしまいます。しっかり噛んで食事をすることができなかったりお口に合わない義歯を使用し続けると、顎の筋力低下から全身の身体機能低下につながることも。
経済的・身体機能的にも人生を豊かにするために、予防は非常に大切なのです。
当院の予防プログラム
Our prevention program
「予防の大切さはわかったけど、何をすればいいの?…」
そう疑問を感じる方もいらっしゃると思います。
当院は、患者さんがご自身のお口を視覚的に理解することで、口腔ケアに”興味をもって”取り組めるように力を入れています。
5分でお口の”今”を知る
〜サリバリーマルチテスト〜
サリバリーマルチテスト (SMT)とは唾液検査のことです。
むし歯菌・酸性度・緩衝能・白血球・タンパク質・アンモニアの6項目を専用の機器と紙で測定します。わずか5分ほどの検査で、むし歯、歯周病、口臭のリスクなど、患者さんごとのお口の状況がひと目でわかります。
当院はこの検査を元に、患者さんお一人お一人のお口をしっかり把握することで、オーダーメイドの予防プラグラムに基づくメンテナンスを実践していきます。
※唾液検査の2時間前から飲食はお控えください。
簡単ステップと
ビジュアルでわかる結果
サリバリーマルチテスト(唾液検査)で患者さんに行っていただくことは、専用の洗口液でお口をゆすいでいただくことだけ。10秒ゆすいでいただいたら、吐き出した液を試験紙に塗布して機器の判定を待ちます。
5分ほどで専用のシートに結果が印刷されます。ご来院いただいたその日にお持ち帰りいただけるので、早速ご家庭での口腔ケアに生かすことができます。
- ●むし歯菌
- むし歯菌の量が多いと歯垢 (プラーク) が付着しやすく、むし歯になるリスクが高くなります。
- ●酸性度
- 唾液の酸性度が高いとむし歯菌の活動が活発になります。また、歯のエナメル質が溶けやすくなるので、むし歯のリスクが上がります。
- ●緩衝能
- 酸性に偏ってしまったお口の中を、十分に中和できるかを測定します。中和する働きが弱いとむし歯になりやすい傾向があります。
- ●白血球
- 歯と歯の隙間、歯と歯ぐきの間に細菌が増えると免疫機能が活発になり、唾液に含まれる白血球が増えていきます。
白血球の量を検査することで、歯周病リスクの判定ができます。 - ●タンパク質
- 唾液に含まれるタンパク質は、細菌の増加に伴って増えていきます。
タンパク質の量を測定することで歯周病リスクを判定していきます。 - ●アンモニア
- お口の中の清潔度、口臭リスクの判定をアンモニア濃度の測定で行います。
プロおすすめの歯ブラシで
しっかりブラッシング
当院は3ヶ月ごとにご来院いただき、プロによるメンテナンスを受診されることをおすすめしております。サリバリーマルチテストに基づいた患者さんごとのむし歯のなりやすさや、歯並びが原因で磨き残しやすい箇所を考慮しながら、ブラッシング指導などを行います。
定期検診の際にクラップロックスの歯ブラシをお渡ししていますので、歯科医院での指導を思い出しながらご家庭でも適切な歯磨きを続けて習慣化していきましょう。